KDDI研究所(埼玉県ふじみ野市)は5月23日、施設内の様子をメディアに公開1 |
KDDI研究所(埼玉県ふじみ野市)は5月23日、施設内の様子をメディアに公開し、現在取り組んでいる新技術について紹介した。
http://news.mynavi.jp/articles/2013/05/24/kddi/index.html
KDDI研究所(埼玉県ふじみ野市)は5月23日、施設内の様子をメディアに公開し、現在取り組んでいる新技術について紹介した。
データ通信量が増加の一途をたどる昨今、限られた資源である"周波数"の有効利用が求められている。KDDI研究所が23日に報道発表した 「Advanced MIMO(マイモ)」は、大きなデータを複数の端末に一斉に送ることができる新技術。基地局と端末側の双方で複数のアンテナを組み合わせることで通信速度 を向上させる既存の技術「MIMO (Multiple-Input Multiput-Output)」をさらに発展させたものだ。課題だった電波干渉の問題を解決し、周波数利用効率をLTEの約3倍(20bps/Hz) にまで向上させたという。2018年頃の実用化を目指している。
電波干渉を抑えつつ高速通信を利用できるAdvanced MIMO。周波数利用効率をLTEの約3倍にまで向上させることができる
の約3倍にまで向上させることができる
使用する電波の周波数が高くなると、必要とされるアンテナのサイズは小さくなる。スマートフォンには現在、800MHz~2.5GHzあたりの周波 数が利用されているが、今後は3.5GHz以上の周波数の利用も予想されている。このため近い将来、端末内に4本~8本のアンテナを内蔵するモデルが登場 する見込みだという。多アンテナ端末の性能を評価するには、様々な方向から大きさを変えた電波を照射して実験する必要がある。KDDI研究所ではこの実験 を「電波無響室」と呼ばれる特別な部屋で行うという。
電波無響室では電波が外に漏れず、外から漏れ込むこともない。また、部屋内が電波吸収体で覆われているため、電波が反射しないようになっている。こ れにより、アンテナの放射パターンを正確に測定することが可能だという。実際に入ってみると、部屋の中では話し声さえもまるで響かなかった。
「大規模画像認識システム」はAR技術を応用したもので、スマートフォンのカメラを利用したARアプリと連携して使用する。すでに一部の企業と協業 しており、現在トライアルを実施中だという。例えばスマートフォンのカメラを菓子の製品箱に向けると、画面上には商品情報のリンクやSNSの共有ボタンな どが表示される(商品情報検索)。宿泊施設のパンフレットに向けると宿泊施設の様子が分かる360度パノラマ画像が表示され(ランドマーク情報検索)、通 販カタログに向けると商品のセール情報/Webサイトへのリンク/ コーディネートに最適なアイテムなどが表示される(Eコマース連携)といった具合だ。
これまでの画像認識システムでは、データベースのサイズが増加することにより検索速度が低下する、また類似の部分領域を数多く検出してしまうことにより誤認識が増加するなどの課題があった。「大規模画像認識システム」では、新技術でこれらの課題を克服したという。
具体的には、データを1/10以下に圧縮し、圧縮したままで検索することで10万枚の画像データを約1秒で検索可能にした。また、データベース中に 稀にしか存在しない部分領域がマッチする場合を「信頼性が高い」と判断することにより、高精度を保持することに成功したとのことだった。
「ブラウザ同期技術」は、離れたユーザー同士のブラウザ表示を同期することで「買い物支援」「健康支援」「営業技術支援」などを行うというもの。例 えば買い物支援では、遠いスーパーまで行き、重いものを買って帰るということが困難なシニアユーザーでも、テレビ電話でオペレーターと直接会話しながら、 欲しいものをネット注文できる。また健康支援では、栄養士の操作支援により健康状態を簡単に相談できる。健康器具と連携しデータを送ることも考えられてい る。
すでに買い物支援については北海道旭川市・美瑛町エリアで実証実験済み、健康支援については経済産業省産業総合研究所 気仙沼プロジェクト向けに納入済みだという。今後はWebソフトや端末を追加し、プラットフォーム化してサービスを実用化していく方針だ。
ネット上のつぶやきをリアルタイムに収集解析できる「Social Media Visualizer」も紹介された。これはTwitter上の発言を解析し可視化するというもの。現在、法人向けに提供されている。ユニークなのは、 KDDI独自のプロファイリング技術により、Twitterユーザーの年齢、性別、職業、住まいの地域などを分析できる点。これにより、調べたいキーワー ドを入力するだけで「そのキーワードを、どんな人たちがつぶやいているのか」を把握することができる。
もちろん、Twitterのアカウントに登録されているプロフィールからユーザーの年齢、性別、職業、地域などをうかがい知ることはできない。ユー ザー別のプロファイリングデータは、過去のつぶやきを解析することで生成されるという。具体的には、特定の単語を含むツイートをどの程度しているか、など で判断されている。KDDI研究所では「市場の声をフィードバックしブランドマネージメントに活用する」「炎上などの危機管理に備える」「イベント効果を 測定する」などの活用シーンを想定している。
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最後に、KDDI研究所所長の中島康之氏と、同会長の安田豊氏から挨拶があった。KDDIでは「マルチユース」「マルチネットワーク」「マルチデバ イス」の3つの頭文字からなる「3M戦略」を進めている。中島氏は「例えば"マルチネットワーク"ひとつとってみても、まだやることがたくさん残ってい る。3Mを基軸に、各々のシチュエーションについて様々な提案をしていきたい」と述べた。また、安田氏は「ビッグデータ解析やM to M(マシン間の高度な情報処理)などにより、これからビジネスの形がだいぶ変わっていくかも知れない」とし、KDDI研究所としては「健康、医療、社会イ ンフラ、農業、漁業などにも役立つような技術開発を進めていきたい」と結んだ。
KDDI研究所の中島氏(写真左)と、安田氏(写真右)
-以上マイナビニュースより引用-
2)へ続く