右翼と左翼 2 |
【アジアとの関係も同じ】
同じ図式は中国や韓国などとの関係についても言える。ほんの30年前までは、図3のような図式にリアリティがあった。ただし今度は左下にあるのが中国な ど、右上にあるのが日本である。この場合、中国などに味方する立場は、世界を横に切って「下」に味方する左翼の図式にたしかにあてはまった。本当はこのこ ろの中国にも「上」と「下」の分裂と抑圧はあったし、漏れ伝わる情報を曇り無く見つめればそれに気づくことはできたはずなのだが、まあそのことは今は問う まい。
問題なのは、その後、中国などが経済発展して強国となり、巨富と権力を手にした少数者と、膨大な無権利の労働者大衆との分裂が明らかになっているにもか かわらず、そして日本でも中間層が分解して貧困層が生み出されているにもかかわらず、同じ立場を引き継いでいることにある。すなわち、ここでも図4のよう になっているのである。もともとは世界を横に切って解釈していたから左翼を自称できたのに、実はいつの間にか世界を縦に割って考え、「ソト」に味方する逆 右翼になってしまったわけである。
【縦に切る切り方は国だけではない】
ところで、世の中を縦に切る切り方は、国ごとに切るものばかりではない。在日コリアンと日本民族、女性と男性、障害者と健常者、みんなそうである。
貧困者と金持ちも同じじゃないかと言われるかもしれないが、そうではない。世界を横に切って認識する者は、貧困者がなくなることを目指す。「上」の立場 の者は、「下」が這い上がってきて貧困者じゃなくなることを提唱するし、「下」の立場の者は世の中の仕組みを変えて、貧困者がなくなることを目指す。ま た、共産主義革命など百年はあり得ないと思うが、仮に本当の正しい共産主義革命が起こったならば、資本家は銃殺されるわけではない。倒産の心配をする必要 がなくなって幸せになるのである。経済的カテゴリーというものは、人間の身にくっついているアイデンティティではなくて、経済条件のいかんによって、いく らでも可変的なものなのである。
それに対して、在日コリアンと日本民族、女性と男性、障害者と健常者といった分け方は、変えることのできないアイデンティティによる区分である。ここに おける被差別者の「解放」とは、自らのアイデンティティをなくすることではない。認めさせることである。貧困者の場合とは全然違うのだ。だから、この区分 に本質的な重きをおく見方は、国で分ける見方と同様、世の中を縦に割る図式なのである。
【ここでも右翼・逆右翼の「左派」】
したがって、ここでも、他人も自分も「左派」とみなしながら、実は右翼や逆右翼である立場が発生する。これは、「市民派リベラルのどこが越えられるべきか」というエッセーで書いた話なのだが、今の図式を使って改めて説明すると以下のようになる。
やはり、もともとは図3のような図式があったわけである。左下にあるのが、在日コリアンや女性や障害者や被差別部落の人々である。この図式の場合、これ らの立場に味方することは、世界を横に切って「下」に味方する左翼の図式にたしかにあてはまったわけである。しかし、ここでもやはり、図4への移行が起 こった。在日コリアンにも、女性にも、障害者にも、被差別部落出身者にも、あこぎな資本家や私腹を肥やす組織権力者が出現する一方、一般日本人男性健常者 の中に数多くの貧困者が生み出される事態になった。そうすると最初は左翼的図式のつもりで始まった立場が、いつの間にか世の中を縦に割って考える図式に変 わったのである。
したがって、経済的な「上」も「下」もいっしょくたにして、在日コリアンなり女性なり障害者なり被差別部落出身者なりをまとめ、それに対する「ソト」と の対抗関係で、世の中の基本を見るタイプの解放運動は、今日ではいかに「左翼」を自称しようが実は右翼なのである。そしてまた、同じように世の中を縦に 割って認識しながら、自分は比較的めぐまれた主流アイデンティティの立場にいた上で、「ソト」である被差別者に味方する立場──これを私は「市民派リベラ ル」と呼ぶ──は、「左」呼ばわりされることが多いが実は左翼では全くなく、逆右翼なのである。
【横に切るか縦に切るかに中間はない】
世の中を横に切って見る現実認識をとった上で、「上」と「下」で折り合いをつけることを望む中道路線はあり得る。また、世の中を縦に切って見る現実認識をとった上で、「ウチ」と「ソト」で折り合いをつけることを望む中道路線もあり得る。
しかし、世の中を横に切って見るか縦に切って見るかの間には中庸はあり得ない。現実には、たしかに世の中は縦にも横にも分かれているだろう。私自身は、 世の中を縦に分けていた壁はますます崩れ、世の中を上下に分ける亀裂が世界中で広がっていると現実を認識している。しかしそのこと自体はここでは論じな い。縦の壁も横の亀裂もそれぞれそれなりにあるのは事実だ。だが、道徳の問題としては、両者の見方を混同することはできないのである。横に切る見方と縦に 切る見方を混同すると、上述したとおり、それぞれにふさわしい道徳が打ち消し合い、弱肉強食の身勝手な風潮が生み出されるからである。
■エセ右翼団体(いわゆる街宣右翼)は在日朝鮮人の自作自演
右翼団体の構成員の多くは、日本の愛国者を装った在日韓国・朝鮮人と暴力団関係者
http://www.youtube.com/watch?v=Se73vJYFKLM